トラックに乗っていて、「これは本当に怖かった…」と思うトラブルはいくつかあります。
もちろん、事故がいちばん怖いです。
ですが今回は、“事故以外”でゾッとした体験を紹介します。
今でも真っ先に思い浮かぶのは――
踏切です。
事故ではないけれど、一歩判断を誤れば取り返しのつかない事態になる場所。
踏切の手前で動けなくなったとき、遮断機、後ろの車、周囲の視線、
そして「早く何とかしなきゃ」という焦り。
頭の中は真っ白になりました。
教科書的には、
「安全な場所に停めて、会社に連絡して、指示を待つ」
それが正解なのは分かっています。
でも、その“正解”が一瞬で飛んでいく瞬間があるんです。
今回は、トラックに乗っていて一番怖かった――
「踏切」でのトラブル について書いてみようと思います。
踏切の基本的な通過ルールと、止まった時の対応
本題に入る前に、まずは踏切の基本的な通り方と、
万が一止まってしまったときの対応を簡単に整理しておきます。
踏切では、
- 一時停止して、安全を確認(窓も開ける)
- 警報器が鳴り出したら進入禁止
- 前方に十分なスペースがあることを確認してから進入
- MT車はギアを変えない
- 遮断機が降りてしまったら、車で押して脱出
これは、誰もが知っている“基本”です。
さらに、踏切内で動けなくなった場合は――
- 遮断機の非常ボタンを押す
- 車から避難
- 発煙筒や目立つもので列車に合図を送る
そう教わっています。頭では分かっている。
でも――実際にその場に立つと、パニックになり
そう簡単にできないこともあります。
踏切手前で動けなくなった日

異変が起きたのは、踏切の手前でした。
突然、トラックのエンジンが停止。
前方には、乗用車一台分ほどのスペース。
片側一車線の道路で、逃げ場はありません。
「最悪だ…😱」――終わったと思いました。
自分でどうにかできる状況ではなかったので、すぐに会社へ連絡。
警察とレッカーの手配をお願いしましたが、もうパニック状態です。
前は踏切。
後ろには後続車の列。
クラクションや視線を感じながら、
何もできず、トラックの中で息を殺して待つしかありませんでした。
ただ、そこで新たな不安が頭をよぎります。
「レッカー車、前に入れるスペースないけど…?」
前は踏切。どうやって作業するんだ?
そう思いながら、永遠にも感じる時間をただ待っていました。
しばらくして、レッカー車が到着。
そしてその瞬間――
「さすがプロだ…」と思いました。
動かなくなったトレーラーを、緊急時用の方法で一時的に動かし、
踏切を越えてからレッカー作業を開始。
詳しい仕組みは分かりませんが、
「こういう状況のための方法」がちゃんと用意されていることに驚きました。
あのときもし、踏切の中で止まっていたら…。
そう考えると、今でもゾッとします。
あの時、何もできなかった理由

今思えば、「こうすればよかった」「ああすべきだった」と感じる点はいくつもあります。
でも――あの瞬間は違いました。
すぐ目の前には踏切。
片側一車線で、周囲の視線が痛い。
クラクション、焦り、時間のプレッシャー。
「こんな場所で止まっていたら邪魔になる」
その気持ちがどんどん強くなっていきます。
早く動かさなきゃ。
周りに迷惑をかけている。
何かしなければ――。
そう思うものの、片側一車線の狭い道。
踏切の近くで誘導もしづらい。
みるみる道路が混みはじめる。
トラックは「うんともすんとも言わない」。
そんな状況で、冷静な判断などできるはずもありませんでした。
結局できたことは、トラックの中で連絡を待つことだけ。
幸い、警察がすぐ到着して交通整理をしてくれたおかげで、
大事には至りませんでした。
譲り合えなかった踏切で起きたこと

もう一つ、踏切が怖いと思うようになった出来事があります。
その踏切はカーブしていて、大型車同士が譲り合わなければ通れない構造でした。
私はトレーラー。すでに遮断機のところまで進入していました。
そこへ、対向から大型車が突っ込んできます。
「そこまで入ってきたら、もうこっちは進めない――」
引き返すこともできず、私は止まるしかありませんでした。
相手のトラックは、ギリギリ通れるスペースを本当にゆっくりと通過していきました。
その瞬間、カンカンカン……と警報が鳴り始めました。
このままでは遮断機に当たる。
でもバックはできない。
選択肢は――前に進むしかありませんでした。
急いで通過しましたが、
トラックの箱が「ガガガッ」と降りてきた遮断機に接触。
一瞬で血の気が引きました。
車を安全な場所に停め、すぐ確認。
幸い、折れも変形もなさそうでした。
片側一車線の道路。踏切が上がれば後続車も来る。
とりあえずその場を離れ、会社に連絡しました。
その後、会社から鉄道会社へ報告。
結果が出るまでの間、心臓はずっとバクバクしていました。
「大事にならなければいい」――それだけを祈っていました。
今振り返っても、あのときの判断が正解だったとは言えません。
でも、一つだけはっきり言えるのは。
踏切は、一度判断がズレると取り返しがつかない場所だということ。
幸い、鉄道会社から「特に異常は見られないので問題ありません」との報告を受け、
その瞬間、全身の力が抜けるほどホッとしたのを今でも覚えています。
踏切での判断

あの場面で「バックできたか?」と聞かれたら、
今でも正直、迷います。
できたかもしれないし、できなかったかもしれない。
そのときには、確認する余裕がありませんでした。
あの状況では“ゆっくり判断できる時間”がなかったです。
踏切のすぐ近くで警報が鳴り始め、
ほんの数秒の迷いが立ち往生につながる。
まさに一刻を争う瞬間でした。
教科書では「遮断機を押して出る」と教わっています。
けれど実際にそれをやるのは、本当に勇気がいる。
それでも――踏切では、
“最悪を避ける判断”がすべてに優先する。
あの経験で、心からそう思いました。
まとめ
踏切でのトラブルを経験して、はっきり分かりました。
踏切は本当に恐ろしい場所です。
運転技術や経験だけでどうにかできる場所ではありません。
一瞬の判断ミス。
ほんの数秒の迷い。
それだけで、取り返しのつかない事態になる可能性があります。
頭では分かっている「正しい対応」も、実際の現場では選べないことがある。
時間がない。
逃げ場がない。
周囲の状況が刻一刻と変わる。
そんな中で求められるのは、完璧な判断ではなく、最悪を避ける判断。
踏切内で止まらない。
閉じ込められない。
それだけは何としても避ける。
今回書いた話は、「これが正解」という話ではありません。
ただ――踏切を通るとき、
「踏切は本当に怖い場所だ」と少しでも思い出してもらえたら、それで十分です。
自分への戒めとして。
そして、誰かの判断の助けになればと思い、この話を書きました。



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