フォークリフトの安全については、
安全講習やマニュアルで何度も見たり聞いたりしています。
でも、実際に現場でヒヤッとする瞬間は、なくならないものです。
トラック運転手として、
日々さまざまな積み込み・荷下ろしの現場を経験してきて、
「これは本当に怖いな…」と思う場面がいくつもありました。
今回は、
事故事例やマニュアルをなぞるのではなく、
現場で実際にヒヤッとした瞬間を中心にまとめています。
正解を断言する記事ではありません。
ただ、同じような現場に立つ人が
「一回、立ち止まるきっかけ」になればと思い、
運転手目線で書いてみました。
フォークリフトで一番ヒヤッとするのは「滑り」

毎日フォークリフトに乗っていて一番怖いと感じるのが、
「滑り」です。
特に怖いのが、鉄のパレット(差し込み口「ガイド」が無い)。
さらにそこに、
- 錆防止の油がかかっている
- 雨や結露で濡れている
この条件が重なると、想像以上に滑ります。
見た目は問題なさそうでも、
実際にはツメの上に「乗っているだけ」の状態。
動き出してから、ジワっとズレ始めるあの感覚は何度経験しても慣れません。
狭い爪幅は本当に怖い
滑りを感じる場面で、特に重要だと思うのが爪幅です。
パレットの大きさに対して、
爪幅が合っていないと、
- 片側に荷重が寄る
- 安定感がない
この状態で前進・後進すると、
それだけで少しずつズレていきます。
フォークリフトによっては、
左右のツメの高さがわずかに違うこともあり、
真っ直ぐ走っているだけなのに、
荷が徐々に動いてしまうことがあります。
「爪幅が狭くて荷物を倒す」定番の事故事例です。
段差の怖さ
段差は油断できません…ほんの小さな段差でも、
- ツメが一瞬跳ねる
- 荷が浮く
- 重心がズレる
これが滑りのきっかけになります。
さらに怖いのが、何かを踏んで跳ねた時。
一瞬のことですが、その衝撃で荷が激しく動くことがあります。
倒れる時は、意外とゆっくり——
荷が倒れる時って、
ドン!と一気に倒れるイメージがあるかもしれませんが、
実際はスローモーションのように、ゆっくり倒れていくことが多いです。
だからこそ危ない。
「支えられるかも」
「手を出せば止まるかも」
そう思ってしまいますが、無理です。
絶対に手を出さない・体で止めようとしない。
これは本当に危険な行為なので絶対にやってはいけません。
トラックポートは、必ずしも平らじゃない
積み込み・荷下ろしの現場も、
完全に水平ではないことがあります。
わずかな傾斜でも、
- 鉄パレット
- 油や水分
- 重心が悪い荷
この条件が揃うと、
坂での荷役作業は、かなり怖いことになります。
「止まっている時は大丈夫そう」
でも、動かした瞬間にスーッとズレる。
この瞬間が一番ヒヤッとします。
滑りの怖いところは、
気づいた時には、もう始まっているところ。
派手な動きはなくても、
小さなズレが積み重なっていく、
バック走行が多いので気づかない、
そして荷役事故につながることが多いです。
だからこそ、
- 爪幅
- パレットの状態
- 荷物の重心
- 路面の状況
このあたりは、
「分かっているつもり」にならず、
毎回意識したいポイントだと感じています。
パレット同士の引っ掛かりの恐怖

フォークリフト作業で怖いのは、
見えていないところで起きている引っ掛かりです。
特に、平パレットを何段か重ねて積んでいる時。
見た目はきれいに積まれていても、
上段のパレットが微妙にズレていることがあります。
この状態でフォークを差し込み、作業してしまうと
上段のパレットが、引っ掛かってしまう
ということがあります。
☝️気づかず作業を続けてしまう
引っ掛かりの怖いところは、
持ち上げた瞬間に分からないことがある点です。
少し浮いただけでは気づかず、
そのままバック・旋回をしてしまうと、
引っ掛かっていた上段のパレットがズレて、
落下してしまうことがあります。
干渉材では防ぎきれないことがある
現場では、
前後左右にベニヤなどの干渉材を入れていることも多いです。
ただ…上段まで干渉材が届いていない
こういうケースでは、
引っ掛かりを完全には防げないことがあります。
見た目では問題なさそうでも、実際は引っ掛かっている
そんな場面は実際によくあります。
☝️鉄パレットの「引っ掛かり」
鉄のパレットは、いわゆる「サラ(重ねる部分)」があり、
ここが他のパレットに引っ掛かることがあります。
この状態で荷を上げると、
隣(後ろ側も)のパレットが一緒に浮いてしまい、
それに気づかず作業を続けてしまうと、
最悪の場合、
周囲の荷まで巻き込む荷崩れにつながることもあります。
「確認しているつもり」でも、見えない時がある
安全講習ではよく、
「少し持ち上げて、左・右・後ろ・上部を確認しましょう」
と言われます。
もちろん大切なことですが、
実際には見えない時もある、というのが正直なところです。
- 荷が大きい
- 上部は見にくい
- 影になっている
こうした条件が重なると、
引っ掛かりに気づくのは簡単ではありません。
☝️積み込み時は問題なくても、輸送後に起きることがある
さらに厄介なのが、
積み込み時には問題がなかったケースです。
輸送中に、
- 振動
- 段差
- ブレーキ
などで荷がわずかにズレ、
荷下ろしの時に引っ掛かりが起きることがあります。
引っ掛かりの怖さは、
思いもよらない所が引っ掛かる。
気づかないうちに、危険な状態ができあがっている。
だからこそ、
- 少しでも違和感があれば止める
- 音に注意する
- 見えない時は降りて確認
こうした意識が大切だと感じています。
フォークリフトは「死角」がとにかく多い

フォークリフト作業で怖いのは、
自分では見ているつもりでも、実は見えていない場所が多いことです。
フォーク自体にも、
- マスト
- バックレスト
といった構造上の死角があります。
これに荷物が加わると、
見えない範囲は一気に広がります。
ツメ先の状態が分かりにくい
パレットに爪を入れた状態では、
- ツメが前傾しているのか
- 後傾しているのか
- 爪先はどの辺りか
など爪先の状態が非常に分かりづらくなります。
特に、パレットよりツメが長い場合、
奥がどうなっているのかは、
正直かなり掴みづらいです。
ちゃんと刺しているつもりでも、
「奥の荷物を傷つけてしまった」
「奥の荷物まで持ち上げてしまった」
なんて事故も多くあります。
☝️荷物が大きいと、前も左右も見えない
荷物が大きくなるほど、
- 前方
- 奥
- 左右
これらがほとんど見えなくなります。
それでも現場では、
前が完全に見えない状態で前進している場面を
見かけることがあります。
事情は分かります。
でも、外から見ていると、やはりかなり怖いです。
見えない時は必ずバック走行をするのが基本です。
☝️時間に追われると、確認がおろそかになる
トラックエリアでは、
時間指定があることも多く、
余裕を持って作業できない現実があります。
- 待たせられない
- 次が詰まっている
- 早く終わらせたい
その結果、
「本当は確認したいけど、そんな時間はない」
という状況になりがちです。
この時間的プレッシャーが、
確認不足につながっているのは明らかです。
☝️マニュアル通りだと、時間内に終わらない現実
安全マニュアルに書いてあることは、
どれも間違っていません。
ただ、正直に言えば、
すべてを完璧に守っていたら、時間内に終わらない。
だからこそ、
- どこを特に意識するか
- どこで立ち止まるか
自分なりの「止まるポイント」を持つことが、
現場では大切だと思っています。
「死角」というより、確認不足
もうひとつ怖いのが、
パレットを重ねる柱(4本)が、しっかりはまっていないケースです。
- 3点だけはまっている
- 手前はOKだが、奥の2点が浮いている
こうした状態は、
運転席からは気づきにくくそのまま作業してしまうと
パレットが外れて落下する事故につながります。
重ねる際は身を乗り出して確認する必要があります。
☝️死角は「見えない」ことを自覚するところから
フォークリフトの死角は、
気合いや慣れで消えるものではありません。
「見えていない」「何かあるかもしれない」
そう自覚するだけでも、
一歩慎重になれると思います。
この意識が、
事故を防ぐ一番の近道かもしれません。
まとめ
結局いちばん大事なのは「焦らない」こと
フォークリフト作業でヒヤッとする場面を振り返ると、
共通しているのは、小さなズレ でした。
- 鉄パレット+油・濡れで想像以上に滑る
- 段差や跳ねで重心が変わり、ジワっとズレる
- 平パレットの重ね積みで、見えない引っ掛かりが起きる
- マストや荷物のせいで死角が多く、確認が難しい
- 輸送中の振動でズレて、荷下ろし時に引っ掛かることもある
どれも、「分かっているつもり」でも起きる。
だからこそ、最後はシンプルにここに戻ると思っています。
☝️焦らない。慎重に。ゆっくり。
時間指定や現場の流れがあると、
どうしても焦りが出ます。
でも、焦るほど確認が抜けて、結果的に危ない。
☝️速く終わらせたい時ほど、ゆっくり。
この矛盾みたいな意識が、実は一番効くと感じています。
☝️横着しない(“一回だけ”が一番怖い)
- いつも大丈夫だから
- ちょっとだけだから
- 今日は急いでるから
この「一回だけ」が、事故につながってしまう…
「大丈夫だろう」と、横着した時にやってしまうものです。
☝️どんな危険があるか、先に知っておく
もうひとつ大事だと思うのが、
「こういう事故が実際にある」と知っておくことです。
事故事例やヒヤリハットを見ておくと、
現場での“違和感”に早く気づけます。
「まさかそんなことが起きるの?」を、
先に知っておくだけでも、行動が変わると思っています。
☝️最後に:安全は「知識」と「止まる勇気」
フォークリフトの安全って、
気合でどうにかするものじゃなく、
危険を知る、止まって確認する余裕だと思います。
- 少しでも違和感があれば止める
- この行動は危険
- ここで事故が起きている
- 事故が起こった時の損害
これらを意識していれば
危ない方向に進まないことはできる。
この文章が、誰かの「一回止まろう」に繋がれば嬉しいです。



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