教習所では習わない”現場の常識”6選
免許をとって公道を走ってみると、
教習所では習わなかった「暗黙の交通ルール」があることに気づきます。
それは交通の流れをスムーズにし、みんなが安全に気持ちよく走れるように…
そんな「お互いへの気遣い」から生まれたものです。
法律で明確に定められているわけではありませんが運転していると
「これは守らないと危ないな」
「これはやっておいた方が安心だな」と思う場面がたくさんあります。
今回はトラック運転手の目線から、そんな”暗黙のルール”を6つ紹介します。
並走しない・信号待ちで横に並ばない

大型トラックは車体が大きく、死角もとても多い乗り物です。
もし隣に車が並走していて、その車が何かを避けようと急に寄ってきたら……
接触事故につながる危険性があります。
そのためトラック運転手は、できるだけ並走しないように心がけて走っています。
もちろん乗用車でも事故のリスクを少なくするため「並走」はしない方が安全です。
また信号待ちで横にピッタリ並ぶのも避けたほうがいいでしょう。
理由は2つあって、ひとつは安全のため、
もうひとつは…正直「気まずいから」😅
特に大型同士で横並びになると、なんとなくお互いに視線を合わせづらいんですよね。
こうした”ちょっとした気遣い”が、事故を防ぐことにつながっています。
合流は1台ずつ!ファスナー合流のマナー

高速道路やバイパスの合流は、スムーズな交通の流れを作るためにとても重要です。
渋滞しているときは「合流の先端まで進み、1台ずつ交互に合流する」のが暗黙のマナー。
いわゆる”ファスナー合流”です。
ただ、状況によって優先の感覚が変わることもあります。
たとえば、空いているときは「車体の半分以上が前に出ている方を優先」
と考える場合もあります。
もちろん速度が合っていなければ成立しませんし、
あくまでトラック運転手としての個人的な感覚ですが
現場でよく見られるパターンです。
この「暗黙のルール」を知っていれば、よりスムーズに合流することができます。
「怖い…」「入れる‥?」と速度を落としてしまうと、本線で譲ろうとしている車の速度も下がり
その結果、本線の流れが滞り、追突事故の原因となってしまいます。
そうならないためには、流れに合わせて自分と相手の位置を意識しながら合流することが大切です。
「合流は1台ずつ・加速レーンではしっかり加速」——これが暗黙の基本です。
制限速度いっぱいで走る
「安全運転=ゆっくり走る」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
特に高速道路では、制限速度よりも10キロ遅いだけで後続車から煽られたり、
車の流れを乱したりする原因になります。
そのため、トラック運転手は 基本は制限速度いっぱいで走る ようにしています。
もちろん天候や路面の状況によっては減速が必要ですが、
根拠のない“マイナス10キロ走行”はかえってトラブルを招きやすいのです。
「違反はしていないけど煽られる」——そんな状況を避けるためにも、
制限速度を守りつつ流れに乗ることが、トラック運転手の暗黙のマナーになっています。
追い越しをかけられたら速度を上げない

後ろから追い越しをかけられたときに、意地でも抜かれまいと速度を上げる車を見かけます。
でもこれは危険で意地の悪い行為です。
とくに大型トラック同士の場合、リミッターが効いていて速度がほとんど変わらないため、
抜くに抜けず延々と並走してしまうことがあります。
こうなると後続車はイライラし、車線変更もできず渋滞や事故の原因になりかねません。
だからこそ、追い越しをかけられたら素直に譲るのが暗黙のマナー。
1~2キロ減速して競わずに流れをスムーズにすることが、安全運転にもつながります。
ハザードランプで伝える合図

ハザードランプは「危険を知らせる」ためだけでなく、
運転の場面によってさまざまな意味で使われています。
法律で細かく決まっているわけではありませんが、
ドライバー同士の“暗黙のコミュニケーション”として大切な役割を果たしています。
代表的なのは次の3つです。
・渋滞の最後尾で点滅 → 後続車に「ここから渋滞してるよ」「止まってるよ」と知らせる
・危険物や落下物の手前で点滅 → 注意を促す合図
・「ありがとう」のサンキューハザード → 車線変更や合流で譲ってもらったときに点滅
追突事故を防ぐためにも、周囲の車に危険を知らせる場面では
積極的にハザードランプを使いましょう。
特にサンキューハザードは、日常の運転で欠かせない暗黙のルールになっています。
明確な決まりはありませんが、
「ありがとうは3回、謝意は3回以上」がよく知られる目安。
1回だけでは気持ちが伝わりにくく、場合によっては不快に思われることもあります。
それでも多くのドライバーが自然に使っていて、
今やなくてはならないコミュニケーション手段のひとつです。
停止線の手前で止まる
交差点では停止線ギリギリに止まらず、1~5メートルほど手前で止まることがあります。
これは大型車や大型トレーラーが右左折するときに、
曲がりやすいスペースを確保するためです。
停止線ぴったりに止まると、内輪差により大型トラックが曲がりきれず立ち往生したり、
最悪の場合は巻き込み事故や車体が大きく振れる「ケツ振り事故」の危険も出てきます。
特に狭い交差点では、少し手前で止まるだけで安全性が大きく高まり、
交通の流れもスムーズになって渋滞の緩和につながります。
「自分の位置を少し工夫する」——これは教習所では教わらない、現場ならではの暗黙のルールです。
まとめ
今回ご紹介した暗黙の交通ルールは、法律で決められているわけではありません。
しかしトラック運転手として長年走ってきた経験から、
「これは守らないと危ない」「やっておいた方が気持ちよく走れる」と
先輩たちに教わり身につけたものばかりです。
並走を避けることやファスナー合流を守ること、制限速度の範囲内で走るなど、
ちょっとした気遣いが交通の流れをスムーズにし、事故の予防につながります。
「正解は一つではない」からこそ、こうした暗黙のルールを意識するだけで、
運転はもっと安全で快適になるはずです😊
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