トレーラーバックのコツ6選|長年乗って思うこと

トラック運転手の仕事術
大型トレーラーがバックする様子

トレーラーのバックは、何年乗っていても難しいものです。

私も長年トレーラーに乗っていますが、道路でのバックは今でも焦ることがありますし、一発で上手く入らないこともあります。

それでも長く乗っているうちに、「こうすると上手くいきやすい」「これはやらない方がいい」という自分なりのコツが少しずつ身についてきました。

今回は、そんな私がトレーラーのバックで今でも意識している6つのことを紹介します。

難しいテクニックというより、基本的なことが中心です。

トレーラーバックが苦手な方や、これからトレーラーに乗る方の参考になれば嬉しいです。

焦らない

トレーラーのバックで、まず大事なのは「焦らないこと」です。

……とはいっても、「焦るな」と言われて焦らなくなるなら苦労しません。

私も長年トレーラーに乗っていますが、今でも道路上でバックするときは焦ります。

後ろから車が来るかもしれない。対向車が詰めてくるときもある。「早く入れないと」という気持ちがどうしても出てきます。

でも経験上、焦ってバックして上手くいったことはほとんどありません。

焦る(早い)とハンドル操作が追いつかず、台車を思い通りに操れません。それに安全確認もおろそかになり、最悪の場合、車両や周囲の物に当ててしまうこともあります。

 道路でバックするときは、車が途切れるまで待って焦らずバックできる状態を作った方が安全です。

それでも上手くいかないときもあります。

一度やって「これはダメだ」と思ったら、無理に修正しながら入れようとしません。

いったん諦めて、もう一度最初からやり直します。

少し時間がかかったとしても、焦って無理やり入れるより、安全です。

焦るのは仕方ない。

大切なのは、「焦っている自分」に気づいたときに、そのまま無理をしないことだと思っています。

ハンドルを回しすぎない

トレーラーのバックで焦ってハンドルをいっぱい回している様子の画像

トレーラーのバックに慣れていない頃ほど、ハンドルを大きく回してしまいがちです。

私も最初の頃はそうでした。台車の向きを見ながら、

「もう少し角度をつけたい」と思ってハンドルを回す。

ところが、気づいたときには角度がつきすぎて「曲げすぎた!」と、ハンドルを必死に回す。でも、そこからヘッドを戻すのは大変です。

慌てて反対にハンドルをいっぱい回す。すると今度は戻しすぎてしまい、また反対へ回す。

右へ大きく回して、今度は左へ大きく回す。

これを繰り返しているうちに、トレーラー全体の動きがどんどん忙しくなってしまいます。

長く乗っていて感じるのは、台車が理想の角度になってからハンドルを戻したのでは、少し遅いということです。

トレーラーはハンドルを切った瞬間に台車も動くわけではありません。ヘッドの向きが変わり、それに続いて台車の角度が変化していきます。

だから、台車だけを見て操作するのではなく、

「このままバックしたら、次に台車がどう動くのか」

を少し先回りして考えることが大切です。

角度がつきすぎる前に少し戻す。足りなければ、また少し足す。

そんな小さな操作を繰り返した方が、トレーラーの動きは安定します。

上手な人のバックを見ていると、意外なほどハンドルをグルグル回していません。

もちろんバックする場所や角度によって大きく切る場面もありますが、普段の細かな修正では必要以上に回さない。

私自身、長年トレーラーに乗ってきて感じるのは、

「ベテランほどハンドルを回さない」

ということです。

ハンドルをたくさん回すことよりも、少ない操作で台車の動きを先読みする。

これがトレーラーのバックを安定させる一つのコツだと思います。

ヘッドの状態を意識する

トレーラーバックのコツの説明イラスト。

トレーラーをバックしていると、どうしても後ろの台車ばかりに意識がいきます。

もちろん台車がどこへ向かっているのかを見ることは大切です。

でも、それと同じくらい意識しておきたいのが、ヘッドが今どういう状態になっているかです。

私はバックするとき、

「今、ヘッドはどちらを向いているか」

「前輪はどちらを向いているか」

「ハンドルはどのくらい切れているか」

「このままヘッドを動かせるスペースはあるか」

このあたりを頭の中で意識しています。

特に狭い場所では、台車だけを見ているとヘッド側のスペースがなくなってしまうことがあります。

「台車はいい位置に来ているのに、ヘッドを戻す場所がない」

こうなってしまうと、その先の修正が難しくなります。

トレーラーのバックは、台車だけを目的の場所へ持っていけばいいわけではありません。

台車の向きを作っているのはヘッドです。

そのため、台車がどう動いているかを見ると同時に、その動きを作るためのヘッドが今どんな状態なのかを把握しておくことが大切です。

慣れないうちは台車の動きを追いかけるだけで精一杯だと思います。

私も最初からできたわけではありません。

ただ、慣れてくると少しずつ、

「台車を見る」だけではなく、「ヘッドと台車をセットで見る」

という感覚が身についてきます。

そして、このヘッドと台車の関係が分かってくると、次に大切になるのが、作った台車の角度をどうやってキープするかです。

台車の角度をキープするハンドル捌き

台車の角度をキープするハンドル捌きの説明のイラスト。

トレーラーのバックでは、台車に角度をつけることだけでなく、つけた角度をキープすることも大切です。

ここが最初の頃は、なかなか分かりにくいところだと思います。

逆ハンを切ると、ヘッドと台車に角度がついていきます。

そして、

「このくらいの角度で、そのままバックしたい」

という状態になったとします。

このとき、そのまま同じハンドル位置をキープすれば、台車の角度もそのままキープされるような気がします。

でも実際にはそうではありません。

逆ハンを切った状態のままバックを続ければ、ヘッドと台車の角度はさらに大きくなっていきます。

そのため、欲しい角度になったところで、今度はハンドルを戻してヘッドの向きを調整する必要があります。

ただし、ここで一気に戻しすぎると、せっかく作った角度が今度はなくなってしまいます。

少し戻して様子を見る。

まだ角度がつきすぎるようなら、さらに戻す。

逆に角度が足りなくなってきたら、また少し逆ハンを入れる。

逆ハンを切る → 戻す → 必要ならまた少し切る。

実際のバックでは、この細かな操作を繰り返しながら、ちょうどいい台車の角度を保っていきます。

言葉にすると難しいのですが、私の感覚では、ハンドルそのものを一定にするのではなく、ヘッドと台車の角度を一定にするためにハンドルを動かし続けるという感じです。

ここでも大切になるのが、前の項目で書いた「ヘッドの状態を意識する」ということです。

台車だけを見て、

「曲がりすぎたから戻そう」

と操作するのでは、どうしてもワンテンポ遅くなります。

今のヘッドの向きなら、この先さらに角度がつくのか。それとも角度がなくなっていくのか。

そこまで意識できるようになると、ハンドルを大きく動かさなくても台車の角度を調整しやすくなります。

私自身、最初からこんなことを頭で考えながらバックしていたわけではありません。

何度もバックを繰り返すうちに、少しずつ身についた感覚です。

だから初心者のうちは、完璧に角度をキープしようとしなくてもいいと思います。

まずは、

「ハンドルを固定したままなら、ずっと同じ角度で進むわけではない」

これを意識するだけでも、トレーラーのバックはかなり理解しやすくなると思います。

トレーラーバックの動きの特徴を説明したイラスト。

無理をしない・諦める

トレーラーのバックで上手くいかなくなったとき、私が大切だと思っているのが、無理をしないこと。そして、ときには諦めることです。

「あと少し修正すれば入る」

そう思って無理に続けても、一度大きく崩れてしまった角度をバックしながら修正するのは簡単ではありません。

直そうとしてさらにハンドルを切り、余計に変な角度になってしまう。

こうなると、どんどん苦しくなっていきます。

そして一番怖いのは、「何とか入れよう」とすることに集中しすぎて、周囲への確認がおろそかになることです。

トレーラーには大きな死角があります。

特に左バックでは、ヘッドと台車に角度がついていくと、ミラーだけでは台車の後方が確認できない状態になります。

これは右バックでも同じで、角度や状況によって見えない場所は必ず出てきます。

バックにもたついている間に、乗用車や自転車、人が近づいてくる可能性もあります。

実際、バックしている最中にクラクションを鳴らされて、そこで初めて車がいることに気づくこともあります。

そんなときに、

「たぶん大丈夫だろう」

でバックを続けるのは危険です。

見えないなら止まる。

少しでも「何かいるかもしれない」と感じたら、一度降りて自分の目で確認する。

そして、角度そのものが悪くなってしまったのなら、無理にその状態から修正しようとせず、いったん諦めてもう一度やり直す。

私は、その方がいいと思っています。

何度も切り返すのは格好悪く感じるかもしれません。

後ろに車が待っていれば、早くしなければという気持ちにもなります。

それでも、無理をしてぶつけてしまえば、そこで終わりです。

時間もかかりますし、何より事故につながります。

「入らないものは入らない。見えないものは見えない。」

そんなときは無理をしない。

トレーラーのバックでは、上手に入れる技術だけではなく、「これは一度やめよう」と判断できることも大切な技術の一つだと思っています。

早く目視できる状態にする

トレーラーバックのコツを説明したイラスト。

最後に私が意識しているのが、できるだけ早く目視できる状態にすることです。

右バックなら運転席側なので、窓から直接後方を確認しやすいですが、左バックではそうはいきません。

ミラーを頼りにバックするのは難しいです

角度がつけば、ミラーから台車の後方が見えなくなることもあります。

だから私は左バックをするとき、最初の位置取りの段階から、なるべく早く後方を自分の目で確認できる形に持っていくことを意識しています。

トレーラーの車種や状況によっては、後ろの窓から台車の状態を確認できることもあります。

もちろんミラーでの確認も必要ですが、私としては、直接自分の目で確認できる状態の方が安心感があります。

見える形をできるだけ早く作る。

これも私が長年トレーラーのバックをしてきて、大切だと感じていることの一つです。

まとめ|上手く入れることより、無理をしないこと

トレーラーと夕日の落ち着いてゆっくりバックできそうな画像

今回は、私がトレーラーのバックで普段から意識していることを書いてみました。

振り返ってみると、特別なテクニックというより、

焦らない。

ハンドルを回しすぎない。

ヘッドの状態を見る。

台車の角度を意識する。

無理をしない。

そして、できるだけ早く目視できる状態を作る。

こうした基本的なことばかりです。

トレーラーのバックは、頭では分かっていても実際にやってみるとなかなか上手くいきません。

私自身、長年乗っている今でも一発で決まらないことはありますし、道路からのバックでは焦ることもあります。

そんなときに無理をすると、余計に角度がおかしくなり、さらに焦ってしまいます。

だから、上手くいかなければ一度やめる。

見えなければ止まる。

ダメならもう一度やり直す。

一発で綺麗に入れることより、ぶつけず安全に入れることの方が大切です。

トレーラーのバックは経験を重ねるほど少しずつ感覚が身についてきます。

今回書いたことも「こうすれば必ず上手くいく」というものではありませんが、これからトレーラーに乗る人や、バックが苦手な人にとって、何か一つでも参考になれば嬉しいです。

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