フォークリフトの安全ルールは20年前とどう変わった?現役運転手が感じる令和の現場

20年前と令和のフォークリフト安全ルールの違いをイメージした比較画像 フォークリフトの安全運転

私はトラック運転手として約30年働いてきました。その中で、フォークリフトを使って荷物を積んだり降ろしたりする仕事も長く経験しています。

今と昔を比べると、フォークリフト作業の安全ルールは本当に変わりました。
昔を思い返すと「よくあんなことを普通にやっていたな……」と思う作業もあります。

ただ、現場で毎日フォークリフトに乗っている側からすると「正直、そこまでやるの?」と思うルールがあるのも本音です。

今回は、約20年前のフォークリフト現場と現在の違いについて書いてみます。

※ここで紹介する内容は、私が経験してきた会社・荷役現場での話です。フォークリフトの運用ルールは会社や工場、荷主によって異なります。

昔は緩かった?20年前と令和のフォークリフト現場の違い

フォークリフトの鍵を作業員同士で受け渡しているイメージ画像

20年ほど前のフォークリフト現場は、今よりかなり自由でした。今の感覚で考えると「それ大丈夫だったの?」という作業も普通に行われていました。

積み方・走行速度

現在の現場では「積み重ねは3段まで」と決められているパレットでも、昔は6〜7段積んで前進することもありました。当然、前はかなり見えづらい。今だったらまず注意されるレベルです。走行速度も昔の方が確実に速く、現在のフォークリフトには速度制限がかかっていて一定以上は出ません。

鍵と資格の管理

昔はフォークリフトの鍵を運転手同士で貸し借りすることも珍しくありませんでした。今では絶対NGです。私の現場では資格証を提出して鍵を受け取り、作業終了後に返却する仕組みになっています。誰がどのフォークリフトに乗っているか、きちんと管理されています。

乗り降りの方法

昔は前向きに飛び降りるような人もいました。今は「この向きで降りる」「手すりを持つ」「三点支持で乗り降りする」など、乗り降りの方法まで細かく決められています。

20年前と比べると、フォークリフト作業は「運転技術」だけでなく「決められた安全動作を正確に行う仕事」へ変わってきたと感じています。

安全パトロールと会社への報告…現場にかかるプレッシャーのリアル

安全パトロール担当者が遠くからフォークリフト作業を監視しているイメージ画像

今のフォークリフト現場で精神的にきついと感じるのが、「いつ、どこで見られているか分からない」ことです。

私の現場では月に一度、合同の安全パトロールがあります。それ以外の日も安全担当者が現場を巡回していて、遠くから作業を見ていたり、写真や動画を撮っていたりします。その場で直接指導されることもあれば、後から会社へ報告が入ることもあります。

指摘内容によっては「なぜこの作業をしたのか」「今後どのように改善するのか」といった改善報告を会社側が求められることも。そうなると自分一人の問題では済みません。

一方で、荷役時間のプレッシャーもあります。安全ルールを一つひとつ守ると時間はかかります。でも省略するわけにはいかない。「ちゃんとやらなきゃいけない。でも早く終わらせないといけない」――この板挟みが、地味に精神的なプレッシャーになります。

「正直、作業しづらい!」指差し確認が多すぎる現場の本音

フォークリフトに乗った作業員が指差呼称をして安全確認しているイメージ画像

現在の安全ルールで一番「めんどくさいな……」と思ってしまうのが、指差し確認・指差呼称です。

基本に忠実に作業するなら、フォークリフトに乗る前から確認が始まります。車体の異常確認、乗車後の前後左右確認、一時停止での停止確認、走り出す前の確認、荷物を取る前の確認――差し込んで少し持ち上げたら左右・上・奥と確認し、バック時にも後方確認。これを何十回、何百回と繰り返します。

しかも私の現場では、バック時の姿勢まで決められています。これが若い頃はそれほど気にならなかったのですが、年齢とともにきつくなってきました。長い距離をバックすると身体をひねり続けることになり、首も痛くなります。

ただ、勘違いしてほしくないのは「だから確認しなくていい」と言いたいわけではありません。むしろ逆です。毎日同じ作業をしている人ほど慣れ、慣れると確認を省略する。事故はそんな何気ない瞬間に起きます。だから面倒でもやる。ただし、現場で働く人間の本音として「めんどくさいものはめんどくさい」という話です。

60歳以上のベテラン勢の苦悩。長年の癖を変えるのは難しい

ベテランのフォークリフト作業員が安全ルールの変化に悩むイメージ画像

現在の安全ルールに一番苦労しているのが、私よりさらに長く運転手をしているベテラン勢です。

何十年も自由だった現場を経験してきた人たちにとって、「昔はそんなことしなかった」「そこまでやる必要あるのか?」という気持ちは分からなくもありません。20〜30年と続けてきた作業方法を「今日から禁止」と言われても、身体に染みついた癖は簡単には変わりません。

特に困るのが、鍵の貸し借りです。ルールでは絶対NGなのに「昔からこうやってるから大丈夫」という感覚で交代を求めてくる人がいます。断れない雰囲気になることもあり、もし見つかれば貸した側も指摘を受ける可能性がある。自分はルールを守ろうとしているのに、他人の昔ながらの感覚に巻き込まれてしまう――これが現在の現場ならではの難しさです。

ただ、ベテランだけを責める気にもなれません。時代とともに何度もルールが変わる変化を経験してきたからこそ「またルールが増えた」と感じるのでしょう。

まとめ|めんどくさくても、安全ルールが厳しくなった理由は分かる

20年前と令和のフォークリフト安全ルールの違いをイメージした比較画像

昔の現場と今を比べると、安全に対する考え方はまったく違います。

昔は当たり前だったことが、今では禁止されている。

  • パレットを高く積んで前進する
  • 鍵を貸し借りする
  • 乗り降りの方法もそれほど細かくない

現在はこれらが一つひとつ細かく決められ、安全パトロールも頻繁です。「ここまでやるの?」と思うこともあります。「安全ルールを守りながら早く作業を終わらせる」両立も簡単ではありません。

それでも、昔の作業を思い返すと「今なら絶対やらないな」と思うことがいくつもあります。ルールが厳しくなったのには理由があります。事故があった、ヒヤリハットがあった――その積み重ねが今のルールになっているのでしょう。

だから私は「めんどくさい」と思いながらも、決められたルールは守る。パトロールに見られているから守るのではなく、誰も見ていなくても同じ作業ができるのが理想です。

……とは言っても。今日もフォークリフトに乗れば「前ヨシ、後ろヨシ、左右ヨシ……」と指差し確認の連続です。やっぱり、めんどくさいものはめんどくさい(笑)。それでも事故を起こすよりは、ずっといい。これが長年フォークリフトに乗ってきた私の結論です。

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