トレーラーバックで私がやらない4つのこと

トラック運転手の仕事術
トレーラーバックでやらないようにしている事。のアイキャッチ画像

トレーラーのバックは、その場の状況・台車の長さなどでやり方が変わってくるので、理屈では分かっていても実際はなかなか上手くいかないものです。

長く乗っていると、「これ以上は無理をしない」「こうなったら、もつ一度やり直す」といった、自分なりの判断基準ができてきます。

私もトレーラーに乗り始めた頃は、せっかくここまで入れたのだから何とかしたいと思って、そのまま無理にバックを続けてしまうことがありました。

でも、無理をして上手くいくことはほとんどありません。

今回は、長年トレーラーに乗ってきた私が、バックするときに「なるべくやらないようにしている4つのこと」を書いてみます。

あくまで私自身の経験から身についたやり方ですが、これからトレーラーに乗る人の参考になれば幸いです。

ヘッドと台車を90度以上曲げない

トレーラーを90度以上曲げた時の注意点の説明

トレーラーのバックでは、状況にもよりますが、私はできるだけヘッドと台車を90度以上の角度にしないようにしています。

角度をつけすぎると、まずハンドルを戻すのが間に合わなくなることがあります。

「そろそろ戻さないと」と思ってハンドルを戻しても、すぐに台車の動きが止まるわけではありません。その間にも台車はどんどん流れていきます。

さらに怖いのが、車両への負担です。

ヘッドと台車の間にはエアホースなどがあります。角度をつけすぎれば、ホースが引っ張られて外れたり、切れたりする可能性があります。台車にホースが引っかかることもあります。

※ホースの引っかかりは90度以下でも起こる可能性があります。

そして、台車のタイヤにもかなりの負担がかかります。

90度近くまで曲げると、台車は前後へ進むというより、その場で角度だけを変えるような動きになります。

当然、タイヤは路面に押しつけられたまま、ねじれます。最悪の場合、タイヤを傷めたりバーストにつながったりする可能性もあります。

さらに90度を超えていけば、今度はヘッドと台車が接触する危険も出てきます。

トレーラーヘッドと台車がぶつかる様子

もう一つ怖いのが「見えなくなる」ことです。

台車の種類やミラーの角度によって違いますが、左バックで大きく折っていくと、90度近くではミラーでも目視でも確認できない範囲が大きくなります。

右バックなら運転席側から目視できる部分もありますが、左バックではそれも難しくなります。

そして当然、トレーラーの後方は左右どちらのバックでも見えません。

だから私は、

「もっと曲げれば入る」ではなく、「そこまで曲げないと入らないなら一度やり直す」

くらいで考えています。

止まったままハンドルを切らない

止まったままハンドルを切らない様子を表した画像

これは安全上の決まりというより、私が長年トレーラーに乗ってきて身についた感覚的なものです。

私はバックするとき、基本的に止まった状態でハンドルを切らないようにしています。

理由は単純で、止まったままハンドルを切ると、ヘッドの位置や前輪の角度が分からなくなりやすいからです。

トレーラーのバックでは、ヘッドが今どちらを向いていて、タイヤがどのくらい切れているのか。その感覚が結構大事だと思っています。

少しずつ動きながらハンドルを操作していれば、

「今これくらい切れている」

「ヘッドがこっちへ動いている」

「ここから戻していく」

という動きが自分の中でつながっています。

ところが、一度止まってその場でハンドルだけを回してしまうと、タイヤがどの角度になっているのか分からなくなることがあります。

そして再び動き出した瞬間に、

「あれ? 思っていた動きと違う」

となる。

ほんの一瞬の違和感や迷いですが、トレーラーのバックでは、その小さなズレから修正が遅れて失敗することもあります。

特に狭い場所では、ちょっとしたヘッドの動きの違いが後々大きな違いになってきます。

だから私は、できるだけ車をゆっくり動かしながらハンドルを操作するようにしています。

その方がタイヤの向きやヘッドの動きを把握しやすく、自分の感覚が外れにくいからです。

もちろん、これは「止まったままハンドルを切ってはいけない」という話ではありません。

あくまで私の場合は、

「動きながら操作した方が、ヘッドを自分の感覚の中に置いておける」

ということです。

「大丈夫かな?」と思ったら、そのまま動かさない

「大丈夫かな?」の様子を表した画像

トレーラーは、とにかく見えない場所が多いです。

バックしている時の後方はもちろん、台車を寄せている時も、角度によってはミラーから台車の側面が見えにくくなることがあります。

障害物まであとどのくらいあるのか。

後ろに人や車がいないか。

すべてを目で確認しながら動かせればいいのですが、実際にはそうはいきません。

長く乗っていると、

「これくらいなら大丈夫」

「まだ距離はある」

といった経験からくる感覚、いわゆる「勘」で動かしている部分もあります。

ただ、その自分の勘が、

「……大丈夫かなぁ?」

に変わったら、私は止まります。

そして、分からなければ降りて確認します。

たった一度降りて見るだけです。

面倒だから、たぶん大丈夫だろう。

そして、焦っているので降りて見る余裕がない、もう少しだけ動かしてみよう。

そうやって動き続けて、本当に障害物や車に当ててしまったら遅いです。

特にバック時の後方や、寄せる時にミラーから台車の側面が見えにくくなった時は注意しています。

私の場合、「大丈夫かな?」と思ったこと自体を、止まるサインにしています。

何もなければ、それでOK。

確認して大丈夫だったら、また乗ってバックを続ければいいだけです。

無理だと分かっているのに、そのままバックを続けない

トレーラーがバックしている様子を見ている男性の後ろ姿の画像

ヤードや車庫など、狭い場所へトレーラーをバックで入れる時、最初からすんなり入れられるとは限りません。

特に慣れないうちは、ガードレールや周囲の障害物を避けながら、トレーラーを入れられる角度まで持っていくこと自体が難しいです。

そして、ようやく障害物をかわして、

「よし、入った!」

となる。

ところが実際には、そのままバックを続けても綺麗には収まらないことがあります。

私も最初の頃は、せっかくここまで入れたのだから、このまま何とかしたいと思ってバックを続けてしまうことがありました。

でも長いトレーラーは、狭い場所での微調整が簡単ではありません。

少し位置がずれただけでも、それをバックしながら直すにはかなりのスペースが必要になります。

それなら、まだ余裕があるうちに少し前へ出て切り返した方が、結果的に早く綺麗に収まります。

たとえば、

  • このままだとヘッドと台車の角度が90度近くなってしまう
  • どちらか片側へ寄りすぎている
  • そもそものスタート地点を失敗した

こんな時は、無理に続きをやらないようにしています。

特にスタート地点を失敗したと自分で分かっているなら、その後のハンドル操作だけで何とかしようとしても苦しくなることが多いです。

「もうダメだ」と分かっているなら、早めにやり直す。

せっかくここまで入れたのに……と思っても、一度前へ出た方が結果的には早い。

トレーラーのバックでは、切り返すことは失敗ではなく、綺麗に収めるための一つの技だと思っています。

まとめ|トレーラーバックは無理をしない

今回紹介した4つは、教習所で習うような決まりではなく、私が長年トレーラーに乗ってきた中で「これはやらない方がいい」と感じていることです。

振り返ってみると、4つすべてに共通しているのは無理をしないことだと思います。

角度が悪ければやり直す。

見えなければ止まる。

分からなければ降りて確認する。

このままでは無理だと思ったら切り返す。

バックが一発で入れば気持ちいいですが、毎回そう上手くいくわけではありません。

何度か切り返しても、降りて確認しても、最後に安全に入ればそれでいい。

特にトレーラーは、一度おかしな角度になってしまうと、そこからの修正が大変です。

だからこそ私は、

「無理して入れるより、早めに止める。ダメならやり直す。」

これを大切にしています。

トレーラーバックは、ハンドル操作の上手さだけではなく、「ここで止める」「ここでやり直す」と判断することも大事な技術の一つだと思います。

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